筋肉には白筋と赤筋があるのはご存知ですか?
「聞いたことはあるけれどもそんなこと意識して運動していない」
ということが多いのではないでしょうか?
ところが実用的な筋肉としては不十分です。
筋トレといえば、
「息をはきながら、息を吐きながらゆっくりと筋トレをする」
といった方法ばかり行って、”太く、強い筋肉”を付けることに焦点が向きがちです。
白筋を意識した筋トレをしてみましょう。
今回は、白筋の鍛え方について解説します。
この記事をオススメする人
- ゆっくりとした筋トレばかり行っている人
- 中高齢者のシニア世代
- 筋トレをしている人前半
- 運動に慣れてきた人
ゆっくりと体を動かす筋トレに慣れてきた人は、体を素早く動かす筋トレにも挑戦してもらいたいと思います。
なぜゆっくりな筋トレだけでは不十分なのでしょうか?
なぜ白筋を鍛えるのか?
なぜ白筋を鍛えなければならないのでしょうか?
答えは,白筋が「速く」そして「強く」収縮するからです。
ゆっくりと動かして強化される筋肉は、遅筋(赤筋)であり、
素早い収縮が可能な速筋(白筋)はなかなか収縮しにくい筋線維です。
体を動かすときには「素早さ」が必要になるときがあります。
つまずいて転びそうになったときに、足をさっと前に出して足を踏み出し転ばないようにする際にも素早さが必要になります。
高齢者の方は,つまづいて転んでます.
転びそうになったときの1歩が出ません。
昔は,転んで骨折して褥瘡(床ずれ)ができて,多くの方が亡くなってました.
信じられませんが,転んだことがきっかけでなくなっている人もいました。
高齢者では骨が弱ってることも多く,転んだことで背骨の圧迫骨折や,大腿骨頚部骨折になります.
こういった骨折は,移動能力を低下し,健康的な生活を行うことが出来なくなってしまいます。
運動やスポーツをやってる人は、ゆっくり動くだけでは高いパフォーマンスを出せません。
スポーツでは、俊敏性が必要になります。
どの世代の方にも、素早く動かすための白筋を鍛えることをオススメします。
シニアは白筋が萎縮する
筋線維には、収縮速度が速い白筋[速筋線維(typeⅡ線維)]と赤筋[遅筋線維(typeⅠ線維]があります。
白筋は、加齢によって萎縮しやすい筋線維です。(Lexell J.1988)
歳なら仕方がない・・・と考えがちですが、あきらめずに意識的に白筋を鍛えるようにしましょう。
生き物は白筋か赤筋を持っている
白筋と赤筋は、動物で考えてみるとわかります。
- 何千キロも飛び続ける持久力のある鳥
- 遠くまでは飛び続けることができない(あるいは飛ぶことができない)鳥
- マグロのように長時間泳ぎ続ける魚
- じっとしていていざという時に素早く動ける魚
鳥や魚でも筋肉の質が違います。
その筋線維の質は、生まれたときから決まっているので変化しないという説もあります。
人間では、長距離ランナーの筋肉と短距離選手の筋肉では、白筋と赤筋の線維の割合が異なると言われています。
白筋と赤筋の割合は、生活環境やトレーニングによっても変化してくることが考えられます。
しかし,そんなにすぐ変わるものでもありません。
筋肉の質を変えるには、かなり努力が必要です。
白筋とは?白筋の特徴
白筋の特徴を挙げるとしたら「速い」&「強い」です。
白筋(速筋)は、赤筋(遅筋)に比べて、収縮速度が10倍速いといわれています。
白筋線維は太く、ミオグロビンというたんぱく質をほとんど持っていないので白く見えます。
白筋は、クレアチン・リン酸という物質を分解する方法でATPを合成します。
グリコーゲン、ブドウ糖を無酸素的に分解して、乳酸を生成してエネルギーであるATP(アデノシン三リン酸)を合成します。
これは赤筋線維より効率がよく、また直径が太いので大きな力を出すことができます。
しかし、すぐエネルギーを使ってしまうので疲れやすいのです。
さらに、白筋には「タイプIIa」、「タイプIIb」があります。
タイプIIaは、中間筋であり,白筋でありながら赤筋と同じような特徴があります。
ほどほどにミオグロビンを含んでいるため,中間の ピンク色になってると考えられています.
白筋は、運動閾値が高く「強い筋収縮」が起きるときに収縮しやすくなります。
赤筋の特徴
反対に赤色筋線維は細く、酸素と結合するミオグロビンを多く含んでいるため赤く見えます。
そして、ミオグロビンから酸素供給できるので長い時間収縮することができます。
また、ミトコンドリアも多いので、有酸素的に脂肪酸・グリコーゲン・ブドウ糖を炭酸ガス・水に分解して効率よくATPを合成します。
そのため,持久性の必要な運動で必要です.
赤筋は、運動閾値が低く「弱い筋収縮」でも収縮しやすいです。
【白筋筋トレの秘訣】白筋の鍛え方
白筋を鍛えるには、「パワー、筋力、スピード」の3点が必要です。
「パワー=筋力×スピード」なので、高強度・スピード感のある運動ということですね。
短距離走選手は、早く走れば走るほど白筋が作られるとされています。
また、ウェイト・リフティングのような運動が最も「白筋」と「骨密度」が高いとされています。
【秘訣①】強い刺激を入れる
白筋の運動閾値は、赤筋よりも高いです。
つまり、強い刺激を入れなければ、赤筋は収縮するけど、白筋は収縮しません。
【秘訣②】疲労困憊まで筋トレをする
もうこれ以上動かないというぐらいまで筋トレをすることを「オールアウト」と言います。
軽負荷~中等度の負荷でも、運動繰り返してオールアウトまで筋肉を疲労させると、筋力を維持するために多くの筋線維を導入しなければなりません。
そのため、疲労してからもう一踏ん張りする頃に白筋が活動します。
疲れてからが勝負ということです。
疲労困憊まで筋トレを繰り返しましょう。
【秘訣③】素早い筋トレをする
『白筋』は、『速筋』です 。
素早い筋収縮が必要な時に活動します。
そのため、「クイックトレーニング」のように、素早く筋トレをしましょう。
赤筋の割合が増える理由
一般的なスポーツや活動的なスポーツを行う人は「遅筋Ⅰ」と「速筋Ⅱa=中間筋」は作られますが、最も筋力のパワーが必要とされる「速筋Ⅱb」のトレーニングが少なくなり全体的に白筋が育ちにくいと考えられます。
高齢者の場合は,特に最大の筋肉を必要とすることはあまりありません。
トレーニングでも、最大筋力までの負荷をかける運動は行っていませんよね?
当然、赤筋の割合が多くなり、速筋の割合は少なくなってきます。
白筋が弱る理由
『強くて、速い運動をしないから』です。
実際の生活を考えてみてください.
①便利な世の中なので、運動不足
②ウォーキングのような低強度の弱い運動が多い
③きつい、疲れる、続かない、汗かく・・・そんなの嫌だ
運動しない理由を挙げたらキリがないですね.
高齢者の場合、
①高齢者になれば、パワー型の運動をやらない
②加齢のために、白筋は必然的に弱体化する
③歳のせい
④若い時より動けなくなってきた
これも運動しない理由を挙げたらキリがありません。
便利な世の中になっていますので、力を入れる作業は少なくなっています。
「買い物に行っても、食材を持つのが重く感じる。」
「スマホより重い物を持ちたくない。」
病院で働いていると中高齢者の患者さんは、
「ちょっと動くと疲れちゃうから、運動はしない」
「ダンベルを見ただけで拒否反応!」
なんてことは日常茶飯時です.
筋力パワー系の運動するには、意識を根本的に変える「意識改革」が必要になります。
【白筋の鍛え方】の注意事項
白筋筋トレのための意識改革
白筋を作るには、『素早い動き』と、『強い収縮』が必要です。
そのため、今まで「重いものを持ちたくない」「疲れたくない」と思っていた”意識を変える”必要があります。
自分でやる気がある人は、放っておいてもやるので、そもそも指導が必要がありません。
弱体化している人は、意識や考えの段階で既に弱体化が起きています。
そのために、意識改革が必要です。
この段階が”最も重要で難しい”と思います。
筋トレを運動を指導する人は、意識改革のために認知行動療法などの臨床心理学を取り入れると効果的です。
まずは筋トレをやる人自身が「強い決心をする」必要があります。
急に負荷をかけない
筋肉痛は体験したことがあると思います。
筋肉痛になると、力が入りませんよね?
痛いので運動もしたくなくなります。
そうすると継続することができないわけです。
「継続性の法則」ができません.
「漸増性の法則」があるように少しずつ負荷を増やしていく必要があります。
すぐに筋肉が太くはならない
運動を開始して、早い段階で力が入りやすくなります。
これは筋肉の活動単位数が増えたり、神経筋活動が活性されたために、今まで持っていた重さが軽々と持ち上がるようになります。
しかし、筋肉はすぐには太くなりません。
筋肉が太く,成長するためには,”ある程度の期間”が必要です。
それを理解した上で、根気よく運動を続ける必要があります。
トレーニング効果を上げるには
効率よく筋肉を鍛えたいですよね?
すぐに効果をあげたいですよね?
それができたら、筋肉をつけるのに苦労はしないんです。
必要なのは、”トレーニングの原則”を守ることです。
筋トレで意識すべきトレーニングの原則
- 【漸増性の法則】無理をしないで少しずつ負荷を上げていき、
- 【過負荷の法則】ずっと同じ負荷をかけていたのでは、筋力が強くならないので負荷を調整していく。
- 【継続性の法則】それを日々継続して行う。
- 【特異性の法則】強化したい動作があるのであれば、その動作もしくはそれに近い動作でトレーニングを行う
- 【過負荷の法則】より強い負荷を加える
筋肉をつけるための栄養管理
効率よくトレーニングの効果を出すためには『栄養の管理』も行うべきです。
筋タンパク合成には、筋肉のもとになる栄養が必要です。
筋トレに必要な『継続は力なり』
頭が良くなりたいと思っても、その時だけ本を読んでも頭が良くなりません。
勉強は続けなければ効果が出ません。
筋肉も同じです。
地味なことを続けられる人が、結果を出せるのです。
まとめ
- 『白筋筋トレ』は、中高齢者、シニア世代も必要。
- 白金を強化するには、強い収縮、素早いスピード、オールアウトなぜ筋肉に負荷をかける。
- 筋トレに慣れてない人は、軽い負荷のトレーニングから始めて最終的に強い負荷まで筋トレを継続する。
- トレーニングの原則を意識する。
- 腹筋を鍛える意識でいると、中高齢者でも転倒しにくくなる。