健康でアクティブな生活を送り続けるためには適度な運動を継続することが有効です。
ウォーキングは有酸素運動の方法の1つです。
有酸素運動は、動脈硬化の予防や体力増強、筋肉量を保って代謝を上げるのにも有効です。
糖尿病などの病気がある方には、運動療法の1つとして必須の条件です。
ウォーキングが身体によいことは、周知の事実ですが、 どんな効果があるのでしょうか?
この記事では、「シニア世代に重要なウォーキングの効果』について解説していきます。
その人に合った運動の負荷がありますので、自分の体力に合わせたウォーキングの方法が必要ですが、体力がある方は、ウォーキングの方法も負荷がかかりやすい方法で行うことをお勧めします。
ダイエット・肥満を防止する効果
ウォーキングは、有酸素運動なのでエネルギー源は『脂肪』です。
脂肪をエネルギーに変えることで効率よく体脂肪を減らすことができます。
メタボリックシンドロームになりたくない方は有酸素運動(ウォーキングなど)を継続して行いましょう。
ちなみに筋肉トレーニング(筋トレ、レジスタンストレーニング)などの無酸素運動ではエネルギー源は「糖(グルコース)」です。
筋肉量が減ると体の代謝機能が低下するので、消費エネルギーが減少して太りやすくなります。
加齢とともに運動しなくなったり、新型コロナウイルスによる活動自粛によって筋肉量が低下すると、代謝が減ります。筋肉が衰えて、やせ細ってしまうと食事によって以前と同程度の食事を摂取していても太りやすくなってしまいます。
特に加齢とともに、筋肉量は低下しやすい状態になります。
など様々な心身・精神的な変化によって太りやすくなります。
ウォーキングなどの有酸素運動だけでなく、肥満になってメタボリックシンドロームにならないように筋トレも必要です。
ダイエットのためには、「無酸素運動」と「有酸素運動」を組み合わせることがおすすめです。
体脂肪を燃焼させるためには 、「無酸素運動」によって遊離脂肪酸とグリセロールを血液中に送り出し、「有酸素運動」によって それらを筋肉に取り込みエネルギー源とすることで脂肪を燃焼しやすくします。
負荷の強い筋トレを行った後には成長ホルモンが分泌されやすく、その状態で有酸素運動を行えば「燃焼効果」が増加します。
そのため効率よくダイエットをすることができます。
筋力増強・維持効果
ウォーキングで筋力増強効果が得られるかどうかは、その人の筋力・体力によります。
筋力が弱い人にとっては、筋肉をつけるのに効果的です。
しかし、筋力がある程度強い人にとっては、それ以上の筋力増強効果は得られないでしょう。
筋肉を強化するためには、強めの負荷が必要です。
『過負荷の法則』というものがあります。
筋力を強くするためには、実はウォーキング以上の負荷をかけなければいけません。
でも、ウォーキングをやらないよりはやった方がいいです。
筋肉は”合成”と”分解”を繰り返しています。
運動をしなくなれば、筋肉に負荷がかからずに筋肉がやせ細っていくこととなります。
ウォーキングをしていなかった人が、ウォーキングをやり始めればそれなりの筋力増強効果が得られます。
それ以上に筋力増強効果が必要な場合には、ウォーキング以上のトレーニングが必要になります。
筋力トレーニング(レジスタンストレーニング)を加えることが理想的ですが、ウォーキングで筋肉に負荷を与えていきましょう。
生活習慣病と動脈硬化の予防と改善効果
生活習慣病は、普段の食生活や運動不足によって生じます。
高血圧や脂質異常症、糖尿病などがありますが、これらの生活習慣病は様々な病気の原因となります。
脳梗塞や脳出血といった『脳卒中』、心筋梗塞・狭心症といった『虚血性心疾患』、閉塞性動脈硬化症、腎硬化症などの血管性の病気が発症しやすくなります。
生活習慣病により動脈硬化が起きると全身の全ての動脈で生命にかかわるリスクの高い病気になりやすくなります。
これらの病気の特徴は、生命に関わるだけでなく障害を残しやすいという点です。
『脳卒中』になれば体に麻痺の症状や言語障害、高次脳機能障害など様々な症状が出現する可能性があります。脳のどの部分に障害を受けるかによってその症状は異なります。
『虚血性心疾患』では、心臓にどの程度のダメージを受けるかによって活動できる体の努力が異なります。心臓に栄養を与える血管である冠動脈に血液が流れなければ、心臓の筋肉はダメージを受けます。心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしています。
運動をしたときには、運動によって消費される酸素や栄養を全身に送るためにポンプの強さを強くしなければいけません。しかし、心臓の筋肉に障害を受けてポンプが弱くなってしまっては血液を送り出すことができません。少し動いただけでも息切れがしてしまうというような障害が残ります。これを運動耐容能が低下するといいます。
『閉塞性動脈硬化症』になれば、下肢の血管に血液が流れにくい状態になります。
歩く時には、足の筋肉に血液を送らなければいけません。歩行によって血液中の酸素を消費して、それをエネルギーに筋肉が動いています。ところが足の血管が細くなり血液が流れにくくなると、足の筋肉に血液が流れなくなり、長い距離を歩くと足が痛みます。
足の血管がどの程度細くなっているかによって歩ける距離は異なってきます。血管が細くなればなるほどに、足にできた傷を治すことができなくなります。場合によっては足を切断しなければなりません。
『腎硬化症』は、腎臓の血管が動脈硬化によって紹介されてしまう疾患です。その原因は高血圧です。腎臓の中には糸球体という血液をろ過する場所があります。
あの子宮体に血液を送る細い血管(細動脈)に圧力がかかり、血管の中の細胞が反応して増殖し、血管の中が狭くなります。 腎臓の機能が低下すると体の中の老廃物をろ過することができず慢性腎不全に陥ります。
自分の腎臓で血液をろ過することができなければ、人工透析によって血液中の老廃物を濾過しなければなりません。そうなれば、1回/2日程度は透析病院に行き、3、4時間前後という長時間にわたって透析をすることになります。
塩分の摂りすぎなどの食習慣には注意しないといけませんが、運動不足も動脈硬化を進める原因の一つです。
年齢的には、仕事を退職してから脳卒中になったり心筋梗塞になる方が非常に多いです。
「これから人生を楽しもう」という時期に、生活習慣病による病気を発症してやりたい趣味ができないといった方は大勢いらっしゃいます。
健康あってこそのアクティブシニアです。
健康維持するためにウォーキングは絶対的に必要です。
リフレッシュ、ストレス解消効果
適度な運動をした後に「気持ちがいい」と感じる人は多いのではないでしょうか?
体が動かせないというのは『ストレス』になります。
ハードなトレーニングがストレスになることがありますが、適度な運動はリラックス効果やストレス解消の効果にも有効です。
筋肉を刺激すると脳幹のさまざまな神経核が刺激されます。脳全体に血液を行き渡らせ、神経伝達物質を放出させます。
筋肉からの刺激は脳を活性化させるノルアドレナリン、セロトニン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出するといわれています。
ホルモンの作用でも精神的に良い効果をもたらします。
ストレスは、人間の生理的な反応ですが、過剰なストレスがかかると心や体に悪影響を及ぼします。
自律神経の中の交感神経の活動が高まって心臓に負担がかかり、不整脈や胸痛発作を引き起こすこともあります。
ストレスによってこのような悪影響を及ぼすこともあります。
ストレス源を回避したり、ウォーキングなどによってリフレッシュすることも重要です。
ウォーキングによって全身の血流が良くなり脳が活発に働きます。
少し早めに起きて太陽の光を浴び、生活のリズムを整えることも重要です。
もし近くに森林があれば木々の香りや季節感を感じることでリラックスした気持ちになります。
有酸素運動はリフレッシュやストレスの解消効果に効果絶大です。
認知症の予防効果
ウォーキングなどの運動は認知症の予防に有効です。
現在では、認知症だけでなく軽度の認知症(MCI)も注目されています。
認知症の有病率は439万人(15%)とされていますが、 軽度の認知症(MCI)は、400万人とされています。
認知症まではいかないけれども、少し物忘れがあると思っている人も多いのではないでしょうか?
認知症予防するために脳トレをやってる人は多いと思います。計算問題を解いたり、ゲームで脳に刺激を与えている人も多いと思います。
近年では『二重課題』といって、2つの課題を同時に行うことが脳の刺激にも有効だといわれています。
例えば「自転車エルゴメーターを漕ぎながら簡単な計算問題をする」「ウォーキングをしながら”しりとり”をする」 などです。
ひとつの課題を行うだけでなく二つの課題を同時に行うと脳への負荷が増します。そうすることで脳に血液がたくさん行き渡るようになります。
課題は、その人のレベルに合わせた課題が必要です。考えすぎて運動ができなくなってしまっては、課題が高すぎです。簡単すぎる課題で、あまり考えることなく作業的にこなせる課題は簡単すぎです。
例えば、「手のグーチョキを繰り返し行う」という課題を問題なくこなせる人もいますし、なかなか出来ない人もいます。人によって認知課題のレベルを変える必要があります。
自分のレベルに合わせた「二重課題」を選びましょう。
骨粗鬆症予防の効果
ウォーキングなどの有酸素運動や適度な運動は骨粗鬆症の予防にも有効です。
”動かない生活”は確実に筋肉を弱らせて骨をもろくします。
宇宙飛行士が宇宙から帰ってくると筋肉がやせ細ってしまうということを聞いたことがあると思います。それだけでなく、重力がかからない状態なので骨に負荷がかからず骨からカルシウムが溶け出してしまい骨密度が落ちます。
骨には、骨に対して縦方向に刺激を入れると骨粗鬆症の予防に有効です。ウォーキングをすることで自分の体重を利用して、骨に対して刺激を与えることができます。
特に女性は骨粗鬆症により簡単に骨折をしてしまうことが多くあります。
背中の骨を骨折してしまう”圧迫骨折”は、意外にも座った時の勢いで骨が潰れてしまうということがあります。そのような軽い刺激でも背中の骨が潰れてしまい、腰が痛くなる背中が痛くなるということがあります。
運動が少なくなると筋力が弱くなり、ちょっとした段差で足が上がらずにつまずいて転び、足を骨折してしまうことがよくあります。その場合には、手術を受けなければならないことがあります。
体を動かすということは平衡感覚や反射の能力、敏捷性の向上といった効果もあるので転倒しそうになった時にとっさに足が出るという能力も維持することができます。
姿勢をよくする効果
姿勢を保つためには筋肉が必要です。
背骨の両脇を支えてる骨は脊柱起立筋という筋肉です。重力に対して身体を支える筋肉なので「抗重力筋」といわれています。
歳とともにこの抗重力筋が弱くなってしまうと重力に抵抗することが出来なくなってしまいます。
頭や体幹の重さは、軽くはありません。この重さを支えることが出来なければ、重力に負けて背中が丸くなってしまいます。
腹筋や背筋といった体を支える抗重力筋をウォーキングなどによって普段から鍛えておくことで姿勢矯正につながります。
昔の農家の人は、手作業で田植えなどをしていました。
現在ではトラクターなどの機械を使用しています。そのため現在では背中がすごく曲がったお年寄りを目にすることは少なくなりました。つまり、普段の姿勢が背骨を丸くしてしまいます。
コロナ感染症のために、家で過ごしている人が多いと思います。家の中ではソファーに座ったり、椅子に座ったり、パソコンに向かったり、背中を丸くしてる姿勢が多いのではないでしょうか?その姿勢が続くことによって、背中や腰は丸くなり、首の位置は前に出てきます。
運動する量が減るために、脊柱起立筋などの体を支える筋肉も弱くなっていきます。
身体を丸めた姿勢が長時間続かないように1日に何回かは背中を伸ばし、体を反るような体操をしましょう。
関節や筋肉を柔らかく保つ効果
血液の流れが悪くなると筋肉は硬くなります。
血流が悪いために固くなってしまう筋肉を病院ではよく見かけます。血流は筋肉や関節を柔らかく保ちます。血液を全身に十分行き渡らせることは非常に重要です。筋肉が硬くなってしまうと怪我をしやすくなります。
肩こりや腰痛をお持ちの方は多いのではないでしょうか?
肩の筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋など)や背中の筋肉(脊柱起立筋、広背筋など)の血流が悪くなると肩こりになったり背中、腰が痛くなります。
まとめ
ウォーキングは健康に対して非常に有効なのが分かりましたね!
健康な体があってこそ、自分の好きな趣味や自分の理想とする生活が送れます。
自分の満足いく人生が送れるようになるためには、”なるべく長い期間、健康でいる”ということが重要ですよね?
「筋トレが苦手だ」「年だから筋肉にあまり負荷をかけたくない」
という人もいると思いますが、若い人以上に健康を維持するためには自分の体に対してケアが必要です。
ウォーキングはお金がかからず最も手軽に始められる運動です。
ぜひ自分の生活習慣に取り入れてみてください。