スロートレーニング (スロトレ)とは?その効果とは?

スクワット トレーニング

 

軽い負荷で筋力をつけたい!

という方はいないでしょうか?

あまり苦労せずに筋肉をつけたいという人は多いと思います.

楽に筋肉がつくならその方が良い!と考えるのではないでしょうか?

 

残念ですが,筋肉を大きくして強化するには,筋肉に負荷をかけなければいけません

楽な方法ではないのですが,低負荷でも高強度のように筋肉に負荷をかけて強化する方法が「スロトレ」です.

 

この記事では,「スロトレ」について解説をしていきます.

ぜひ,読んでみてください.

 

スロートレーニング(スロトレ)とは?

スロートレーニング(スロトレ)は,その名の通り筋トレをゆっくりと行うトレーニングです.正式には「筋発揮張力維持スロ―法」といいます.

 

ゆっくりと筋トレをすることで実際の運動負荷以上に,効率的に筋力の増強効果が得られるという運動方法です.

 

筋トレをすると筋肉が厚くなり,筋肉の厚さによって血管が圧迫されるため血流が阻害されます.筋肉を緩めると血流は元通りになり,エネルギーとなる酸素が供給され,乳酸などが血流に乗って流れていきます.

 

「スロトレ」の場合は,筋肉が収縮して血管が圧迫されることで血流が阻害されますが,通常の筋トレよりもゆっくりと行うことで血流が阻害されている時間が長くなります.力を抜かずに次の運動を行うことで,筋肉は収縮したままになります.その結果,血流が悪いまま筋トレをするということになります.

筋肉は酸素が不足した状態になり,乳酸や各種の代謝物質が蓄積します

そうすることで「成長ホルモン」の分泌が促進されます.

血流を悪くしたまま運動するという点は,「加圧トレーニング」と類似した効果が得られます. 

イメージとしてはこんな感じです.

スロトレ

筋肉の間を流れる血管が圧迫されて,血流が悪くなります.

スロトレの方法(やり方)

さまざまな運動でスロトレは可能ですが,1つ例を出してみましょう.

スクワットでは,膝を3~4秒くらいかけてゆっくりと曲げていき,3~4秒くらいかけて膝を伸ばしていきます.

このときに膝は伸ばしきりません

膝を伸ばしきると筋肉の収縮が緩んでしまいます.筋肉の収縮が緩むと血液が流れてしまいます.

膝を伸ばしきらないで次の運動を行います

スクワット

スロトレの効果とは?

研究では、高齢者に30%程度の負荷で3ヵ月間スロトレを行ったところ通常の筋力トレーニングよりも筋肥大が起きたという報告があります(Watanabe,Ishii,2012).

そして,スロトレ後には筋タンパク質合成が上昇します(Nicholas A Burd,2012).→この研究では,6秒のかけて筋トレをしています.

 

30%程度の負荷でも,スロトレ後には筋肉が合成されるということで,低負荷でもゆっくりと筋トレを行うことで筋肥大の効果が期待できます

 

では,ゆっくりと筋トレをするということは,遅筋線維しか鍛えることはできないのでしょうか?

鍛えられるのは遅筋線維だけ?

筋肉には,遅筋線維速筋線維があります.

遅筋線維:ゆっくりとした筋肉の収縮で活動しやすく,軽い負荷で収縮しやすい線維です.

速筋線維:筋肉の収縮で活動しやすく,強い負荷で収縮しやすい線維です.

 

スロトレでは,「遅筋線維しか活動しないのか?」と思われますが,最初は遅筋線維が動員されますが,スロトレにより疲労し,酸素の供給がされないと速筋線維が動員されるといわれています.

速筋線維が動員されるように負荷をかける必要があります.

 

また筋肉の収縮様式として,遠心性収縮(エキセントリックな収縮)時には速筋線維が動員するともいわれています. 

スロトレのメリット

けがが少ない

スロトレは,ゆっくりと行うために筋,靭帯などを痛めるリスクが少ないといわれています.

急激に筋肉が伸ばされたりすると,けがをしてしまうかもしれません.運動不足の方には導入しやすいトレーニングです.

”運動初心者”や”中高齢者”でもできる

スロトレは,軽い負荷でも筋肉トレーニングすることができる方法です.

そのため,運動初心者や中高齢者でも導入しやすい方法だと思われます.

負荷が軽いけれども,高強度と同様の効果が得られるという方法です.

そのため,負荷が軽くても高強度ぐらい辛くなくてはいけません.

スクワット

デスクワークの人もオフィス筋トレとしてできる

「スロトレ」は,様々な運動に応用できます.

ゆっくりと動かし,休むことなく次の運動をすることで筋トレ効果を効率的にできる方法です.

デスクワークで運動不足の人もオフィス筋トレとして行えば,目立つことなくトレーニングができます.

椅子に座りながら両足を持ち上げると腹筋を鍛えることができます.

これに「スロトレ」を組み合わせることで,オフィスでもさりげなく効率的に筋トレができます.

スロトレの注意点

ストトレでゆっくりやってもキツくなければ意味がない

スロトレは「軽い負荷でも筋力がつく方法」というイメージでいると筋肉がつきません

筋肉を強化するには,負荷をかけなければなりません

スロトレによる低酸素や代謝物質の蓄積などが起きる程に負荷をかけなければ,成長ホルモンが分泌は起きず,筋肉は強くなりません.

「楽に筋肉がつく方法ではない」ことを意識しなければなりません.

スロトレだけでは足らない

スロトレによって強化されるのは,ゆっくりとした筋肉の収縮です.

スポーツや競技の場合には,筋力スピードが必要です.

パワー = 力 × 速度

と言われるように,スポーツなどの場面に行かすには,ゆっくりとした筋肉の収縮だけではなく,素早い筋肉の収縮も必要です.

しかし,パワーの要因の一つである”筋力”を強化する方法の一つとしては有効です.

トレーニングの一つとして行いましょう.

 

スポーツ場面だけでなく,中高齢者は筋肉の収縮速度が遅くなりがちです.

転倒を防ぐ際には,自分の体重を支える力も必要です.

そして,つまずいたときにパッと脚が出せるような「敏捷性」も必要です.

歩く速度も遅くなり,お年寄りらしい歩き方になってしまいます.

 

その年代であっても,「力を強化すること」「速度を速くする」という点は必要なことだと思います.

まとめ

スロトレは,低負荷でも高強度のように筋肉に負荷をかけて強化する方法です.

3~4秒かけて曲げて,3~4秒かけて伸ばし,伸ばしきらずに筋肉を休ませることなく次の運動をします.

筋トレを普段から行っている人から,筋トレ初心者,中高齢者の方もケガのリスクが少なく行える方法です.

低負荷でも,楽して筋肉がつく方法ではありません筋肉がつくようにしっかりと負荷をかけましょう

「スロトレ」だけでは,スポーツ場面に生かせる筋肉にはなりにくいです.パフォーマンスを向上させるために,他のトレーニングと組み合わせて行いましょう.

コメント

タイトルとURLをコピーしました