トレーニング用のチューブって、トレーニング器具の中では安い商品だけれど、どう使っていいのかよくわからない
と疑問をもってる方はいませんか?
実は,安価に手に入るトレーニングチューブですが、使い方を理解しておけば、簡単に筋力強化につながる便利な道具です。
そして,トレーニング初心者の方や高齢者だけでなく,筋力の強い方まで幅広く使用することができます.
リハビリテーションの臨床現場でも使用しています。
この記事では,トレーニングチューブのメリット,デメリット,使い方の注意点について紹介していきたいと思います.
もし、あなたがトレーニングチューブで体を鍛えたいと思っているのであればぜひ読んでみてください。
記事を読み終えると,チューブトレーニングのメリットや注意点が理解できます.
チューブトレーニングのメリット
- トレーニング器具の中では比較的安価
- 使い方で様々な筋肉を鍛えることができる
- ゴムの硬さによって筋力の弱い人~筋力の強い人まで鍛えることができる
トレーニング器具の中では比較的安価
他のトレーニング器具に比べると比較的安価に手に入れることができます.
トレーニングジムに行きたいけれども,料金のことを考えるとちょっと尻込みをしてしまうなぁ・・・
という方もいるのではないでしょうか?
チューブトレーニングは自宅でできるため,当然ですが会員費などがかかりません.
スポーツショップやネットショッピングなどで購入することができます.最近では100円ショップでも,チューブを手に入れることができます.(100円ショップでは,チューブの長さが短く,トレーニング方法は限られるかもしれません.また耐久性が低い可能性もあります)
最初からダンベルを購入する気にはなれませんが,トレーニングチューブであれば購入しやすい価格帯だと思います.
続けられるかどうかわからないけどやってみよう
という方にとっては非常に導入しやすいトレーニング方法です.
使い方次第で様々な筋肉を鍛えることができる
正しい方法でトレーニングすれば,チューブひとつで様々な筋肉を鍛えることができます.
そのためには鍛えたい筋肉に合わせて,正しいフォームで行う必要があります.
初めてやる方は,
両手で伸ばしてみる.他によくやり方が分からない!
という場合が多いと思います.
トレーニングの方法を調べてから行なった方が良いでしょう.
ゴムの硬さや長さによって筋力の弱い人から強い人まで鍛えることができる
ダンベルを持って体を鍛えるときには,自分の筋力にあった重量を持つと思います.
チューブトレーニングの場合には、自分の筋力に合ったゴムの硬さを選んで使いましょう.
初心者の方や小柄な方,筋力に自信がない方は,柔らかいゴムから始めてください.
筋力に自信がある方は,固めのゴムに挑戦してみましょう.
チューブの長さによって,張力を調整することも可能です.
初心者の方には導入しやすく,筋力の強い人まで使用できる点は非常にメリットだと思います.
リハビリテーションの臨床現場では高齢者の方にも使用していますので,是非チャレンジしてみましょう.
チューブトレーニングのデメリット
- チューブが伸ばすほど負荷がかかる
- チューブを持っている手が痛くなる
- 筋力がすごく強い人には負荷が不十分
- 自分一人でやるときには,継続できる強い意志が必要
チューブを伸ばすほど負荷がかかる
メリットであり、デメリットでもあるといったところでしょうか?
チューブトレーニングは張力を利用して,トレーニングする方法です.そのためゴムを伸ばすほどに負荷が強くなります.そのため、ゴムが伸びてない時は,負荷がかかりません.したがって運動の初期と最終では負荷が異なります.
上腕二頭筋のトレーニング(アームカール)では,肘を伸ばした状態(伸展位)では負荷が軽く,肘を曲げる(屈曲位)ほど負荷が強くなります.細かいことを言えば、肘を伸ばした位置(筋肉が伸びた状態)でも鍛えたいのです.
それは,筋肉の『特異性』に関係しています.”鍛えた運動は強くなるけど,そうでない運動は強くはなりにくい”ということで,”筋肉が短縮された状態での力は強くなるけど,筋肉の伸長された状態での力は強くなりにくい”ということになりそうです.それならば,マシントレーニングやダンベルの方が最初から最後まで同じ負荷がかかります.
筋力トレーニングをする時に,筋肉の長さや関節角度に注意する場合には,目的とする関節の角度でチューブの負荷がかかるように設定する必要があります.
そこまで細かいことを気にしなければ問題ありません.
チューブを引っ張る手足が痛くなる?
チューブは手の中でも伸び縮みしています.脚に巻いても,チューブに引っ張られて皮膚が痛くなることがあります.足首に直接チューブを巻いて,大腿四頭筋を鍛えようとすると結構痛いです.すね毛が引っ張られるとなおのこと痛いです.その場合には,靴下や洋服を1枚はさむことで皮膚に直接ゴムが当たらないようにしましょう.
トレーニングチューブの強度が強いほどに,チューブを持っている手には負担がかかります.チューブの形状にもよりますが,伸ばすほどにゴムは細くなり,食い込みます.
その場合には,ウェイトトレーニング用の手袋や軍手など,手を痛めないように工夫をしましょう.ちょっと工夫をすれば即解決です.
筋力がすごく強い人には負荷が不十分
ゴムチューブトレーニングは,高齢者や運動習慣がない人から,運動習慣がある人まで幅広くできるトレーニングです.
しかし,ゴムの強度には限界があります.筋力がすごく強い人がゴムの伸びる限界を超えるほど引っ張れば・・・切れます.運動の種目にもよりますが,マシントレーニングのような強い負荷はかけられません.そのため,運動方法に工夫が必要です.
例えば,レッグエクステンションのように両足にチューブをひっかけて足を伸ばせば,足の方が筋力は強いはずです.写真は片脚で行っていますが,この方法でも脚の重みもあり,トレーニングにはなりにくいと思います.
主動作筋(運動に対して主となる筋肉)も共同筋(同時に働き,補助的に収縮する筋肉)も導入して強い力を発揮させるような運動ではなく,ゴムの硬さの範囲で負荷のかかる運動方法を選択しましょう.動方法次第では,どんな方でも有効なトレーニングになるはずです.
自分一人でやるときには,継続できる強い意志が必要
チューブトレーニングは手軽に自宅でできるため,どこでも自分がやろうと思ったときにできます.
逆にそれが継続することを難しくさせてしまうこともあります.
トレーニングジムに行けば,その環境によってトレーニングをせざるを得ません.パーソナルトレーナーがいる環境でも同様でしょう.
チューブトレーニングは,能動的にやることになると思います.一人でも手軽にできるのがメリットですが,一人で続けなければいけないのはデメリットになります.
”継続は力なり”という言葉があるように,筋力トレーニングにおいては継続することが非常に重要です.継続できる強い意志を持ちましょう.
何回繰り返して運動すればいいのか?
何回くらい運動すればいいのかよく分からないけど,とりあえず10回くらいやればいいのかな?
という方は多いのではないでしょうか?トレーニングの回数は,様々な要因によって変わってきます.
例えば,若くて日頃から運動しているような人が,軽い負荷のトレーニングチューブを使用すれば,何回でも運動することができます.
一方,運動習慣がなく,初めてトレーニングチューブを使用する方が強い負荷でやれば,何回も繰り返すことはできません.
「もうこれ以上を繰り返すことができない」ことを『All Out』といいます.『All Out』近くまで筋肉を追い込みましょう!
運動の回数を決める方法
たくさんの要因が,運動の回数を決定します.例えば・・・
- トレーニングチューブの負荷(硬さ)
- 体格
- 運動習慣
- トレーニングする筋肉の場所
- トレーニング方法(筋肉を収縮させている時間:ゆっくりやるか?素早くやるか?)
- トレーニングしている筋肉の疲労
- 休憩のタイミングや長さ
運動の効果を出すためには,目的としている筋肉が”疲労するまで”というのがひとつの目安になります.
筋肉に負荷がかかり,疲労しなければ筋肉は強くなりません.楽して筋肉はつかないということです.筋肉を強くしたいのであれば,ターゲットとしている筋肉が疲労するまで行いましょう.
運動の回数を設定する方法に『RM法』があります.以下の記事も参考にしてみてください.
頻度はどのぐらいやればいいのか?
目的としている筋肉にしっかりと負荷をかけたあとには,筋肉を休ませて回復させなければなりません.
傷ついた筋肉細胞を修復する段階で,筋肉は太くなります.通常2~3日程度で損傷した筋肉は回復します.この時に,自分の栄養と休養などの環境が整うことでトレーニングする前よりも筋肉が強くなります.これを『超回復』といいます.
筋肉には,”超回復”をする時間を作らなければなりませんので,2~3回/週で運動と運動の間では1日程度の間隔をあけると良いでしょう.
どんなことに注意すればいいのか?
- ゴムは劣化するので切れるのに注意しましょう
- 正しい使い方で使用しましょう
- 部位別のトレーニングと実用的な運動能力は別ものです
ゴムは劣化するので切れるのに注意しましょう
チューブは,ゴム製でできているので劣化します.トレーニング用のため,伸縮性には優れていると思います.しかし,劣化はしていきます.
亀裂が入ったりしている場合には,トレーニングの途中で切れてしまう場合もあるので注意してください.切れてしまっても,比較的安価なトレーニング器具なので購入し直しましょう.
正しい使い方で使用しましょう
当然ですが,首に巻いたりしないように注意しましょう.どんな道具でも使い方によっては危険です.小さなお子様が間違った使い方を使用して窒息などしないようにしましょう.
体を鍛える道具として使用してください.
部位別のトレーニングと実用的な運動能力は別ものです
局所的な筋肉を鍛えても,実用的なパフォーマンスに生かせるかは別ものです.
例えば「大腿四頭筋だけを鍛えていれば歩けるようになるか?」
答えは,「NO」です.歩く時には大腿四頭筋だけで歩いてるわけではありません.下半身の様々な筋肉が,必要なタイミングで必要な出力を出して歩けています.
「共同筋の筋収縮」や「拮抗筋の収縮」を調整を協調的に行います.
高齢者のリハビリテーションとして,膝を伸ばす運動での大腿四頭筋を鍛えるトレーニングは多く行われています.確かに,歩行するのに大腿四頭筋は重要な筋肉です.しかし,その筋肉だけを鍛えていても歩けるようになるわけではありません.実用的なパフォーマンスに生かすには不十分です.バランス能力,協調性,俊敏性などさまざまな能力が必要になります.
しかし,大腿四頭筋が歩くためには必要な筋肉なのは確かです.スポーツをする時にも非常に重要な筋肉になります.筋力トレーニングによって筋力UPを図ることは,パフォーマンスを発揮する基礎として重要なことです.
チューブトレーニングだけでなく,様々なトレーニングを組み合わせて運動能力を向上させまそう.
記事のまとめ
チューブトレーニングは,自宅の中でできる安価なトレーニング器具です.
初級者から上級者まで工夫次第で様々なトレーニングをすることができます.
自分に合った固さのチューブを選択し,筋肉が疲労する『All Out』近くまでトレーニングを行ってみましょう.
2~3回/週の頻度でトレーニングができるように計画的に行いましょう.
トレーニングは正しいやり方・フォームを学び,目的に合った筋肉を鍛えましょう.
チューブトレーニングだけじゃなく,様々なトレーニングを組み合わせましょう.