今回は,中高齢者でバランス能力が不安定になってしまった人,脳梗塞などでマヒがある人あとは平衡機能感覚が低下してしまった人,
そういう方々が身近にいる方やまた中高齢者や疾患を抱えたしたにリハビリテーションを指導する人,新人理学療法士,学生の方に向けたお話になります.
倒することを予防して,転ばないために必要なバランス感覚の話をしていきたいとおもいます.
中高齢者やシニアの方で心配なのは転倒です.
他の動画でもお伝えしているますけれども,介護が必要になる原因の12%~13%は転倒・骨折です.
健康寿命を伸ばさなきゃいけないこの時代に,転んでしまうことで介護が必要な状態になってしまう.
つまり,健康寿命が終わってしまうということになります.
健康寿命が終わって平均年齢まで到達するのに13年間の期間があると言われていますので,10年以上も誰かの介護が必要な状態になってしまうわけです.
転ばないために,様々な対策がとられていますけれども筋トレだけでは不十分です.
なぜなら,歩くためにはさまざまな機能が必要になってくるからです.
例えば,
平衡感覚,バランス感覚,そして認知期の敏捷性,素早さです.
素早く正確に動くとそして運動機能この運動機能には筋力のこともあります.
柔軟性体の柔らかさのこともあります.
そして,周りの環境というさまざまな要因によって人間はバランスを保っているということになります.
この平衡機能感覚とかバランス感覚がないと筋力があったとしても歩けないんです.
たとえば,脳梗塞で小脳に障害が起きてしまった人は,若い人であっても立つことすらできません.
芸能人がぐるぐるバットをやった後に立てない場面を見たことがあると思います.
平衡感覚が少しダメになってしまうだけでも立っていることすら難しくなってしまうという体の仕組みがあります.
そこで,今回はバランス感覚を養おうということで解説をしていきたいとおもいます.
バランス感覚の鍛え方ですけれども,こちらのイメージを見てください.
人それぞれバランス能力の高い人と低い人がいます.
バランス感覚の高い人にとっては簡単なバランスの練習があまり効果的ではありません.
それは自分の能力の範囲で治るからです.
逆にバランス能力の低い人にとって難易度の高すぎるバランスの練習は危険になります.
つまり,その人のバランス能力に合わせて難易度が高いすぎず,
逆に簡単すぎない運動を選択して行うことが安全で効果的なバランス練習です.
まず一番大事なのはけがをしないことです.
バランス練習をして難易度の高すぎる練習をしてしまったがために,転んで怪我をしてしまっては,意味がありません.
バランスの練習をする時は安全かつ効果的であるという練習内容を選択しましょう.
さて,それではバランスの練習を紹介していきます.
1つ目は,「セミタンデム」です.
タンデムというのは,縦に並んだ二人乗りの自転車とかオートバイそれからパラグライダーでも縦に並ぶことを言います.
セミタンデムですので,完全に横並びにはならないんですけれども,半分縦並びになるということです.
これは,片方の足の親指の横にもう片方の足のかかとを合わせて立つという,止まった状態でのバランス状態です.
ほとんどの方は,支える方の脚は,後ろ脚が中心になることが多いと思います.
ですので,この絵だったら左足の練習を主にしているというイメージになります.
これはできる方がけっこう多いと思います.
2つ目は「タンデム立位」です.
これは片方の足のつま先にもう片方の足のかかとを合わせて綱渡りをするように足を揃える練習です.
セミタンデムよりもしっかりと縦並びに足を揃えて立ちます.
このとき,体を支える支持基底面は縦が長く,横が狭くなりますので,横に不安定になります.
横に不安定になるということは別に悪いことではありません
ただこの不安定な状態でもしっかりとバランスを取るということが重要です.
若い人でもフラフラします.
ただフラフラしながらも,しっかりとし支持基底面の中でバランスをとっています.
これが中高齢者になってきたり,疾患を抱えたりしている人にとっては,支持基底面の中ではバランスが取れなくなってしまいます.
左右の方向にバランスをとる練習として有効です.
ただし不安定な方は,転倒するリスクもありますので注意してください.
そして,さらに難しくなるのが3つ目の「片脚立ち」です
これは先ほどのタンデム立位よりも支持基底面が狭いことがわかります.
横方向にも縦方向にも狭いため,前後左右に不安定な状態になります
この状態でも立っていられるようにしなければなりません.
歩くときには必ず片方の脚で足を持ち上げます.
ということは片方の足で支えている時間がなければなりません.
もし片足で立つことが不安定になれば,もう片方の足をしっかりと持ち上げることができなくなります.
ということは,足が持ち上がらない原因は,足を持ち上げる筋力がないのではなく足で支えることが不安定な状況愛である可能性もあります.
ですので足を上げる筋力を一生懸命鍛えたとしても足を上げてあることができないわけです.
このように,片足で足を支えることができない人は,片方の足をするようにして歩いている可能性もあります.
特にシニア世代の方は注意してください.
不安定な方は,「ゆっくりと歩くこと」の方が難しくなります.
なるべく片足で立っている時間を短くしたいためです.
片足立ちの練習をすると先ほどまでの演習よりもさらに難しくなりますので,転倒に注意してください.
次に,4つ目の「タンデム歩行」です.
これまでの練習が止まった状態でのバランス練習です.
ここからは,実際に動いた状態でのバランス練習になります.
先ほどの「タンデム」という横並びに並んだ状態でつま先とかかとをつけながら歩きます.
”つま先”と”かかと”をつけるのが難しい人は,少し離しても大丈夫です.
安全な範囲で行なってください.
これも支持基底目は縦長の状態になるので左右の方向に不安定になります.
この不安定な状態でもバランスを取りながら歩くというのが練習になります.
転ぶのが怖いという方は,必ず手すりや壁などにつかまって転ばないように注意してください.
高齢な方でバランスが不安定な方に対しては,介助する人がついていた方が安全です.
そして,さらに難しいのが5つ目「クロス歩行」です.
足をクロスにして歩きます.
中心に引いた線を,「右足は左側に」「左足は右側に」おいて,モデル歩きのようにして歩きます.
この歩き方は,片足を持ち上げているときに一時的に支持基底面の外側に重心が移動します.
より不安定な歩き方になるので足が引っかかって転ばないように注意していきます.
不安定な方はやはり,介助する人がいる時に行った方がいいと思います.
そして,次に6つ目「横歩き」です
先ほどのタンデム歩行やクロス保護に比べるとそれほど難しい課題ではないかもしれません.
しかし,横方向に歩くというのはなかなか普段やらない歩き方だと思います.
”やらない”ということはその能力が衰えるということになります.
比較的長距離を横歩きすると股関節の外側の「外転筋」という筋肉も疲れてきます.
トレーニングの一つとしても,有効だと思います.
そして,さらに横歩きからワンステップ難しい歩き方になります.
7つ目「クロス横歩き」です.
足を揃えていただいて,右に進む場合左の足を前から右足のさらに右に持っていきます.
そして,クロスした右足を後ろから戻します.
これを繰り返します.
支えている足の外側に重心が移動することになるため,不安定な状態になります.
これも練習の一つとして有効です.
そして,これはさらに横歩きからワンステップ難しい歩き方になります.
まず,足を揃えていただいて,右に進む場合左の足を前から右足のさらに右に持っていきます.
そして,クロスした右足を後ろから戻します.
次に,左足を右足の後ろから通して右足の右へ右足は左足の前から通して左足の右へ持っていきます.
「前後ろ,前後ろ,・・・」と交互に足をクロスしていきます.
これは先ほどよりも非常に不安定になりますのでさらに転倒に注意してください.
そして,8つ目「後ろ歩き」です.
バランスを取るために目からの情報は非常に重要になってきます.
これは進行方向が見えないということで,これもシニア世代の方には難しい歩き方になります.
また,糖尿病や脳梗塞などで足の感覚が鈍くなっている人にとっては,足の場所が確認できないため,かなり難しい課題になってきます.
ぜひ,転倒に要注意してください
今回のバランス練習において共通することが言えます
まずは「転ばないこと」が重要です
練習をする人はできると思って無理をしないようにしてください.
最初はどこか捕まるところがあったほうがいいでしょう.
そして,介助をする人は,中高齢者の人が絶対に転ばないように注意してください.
転ぶときには本当に一瞬でバランスを崩して転びます.
転びそうになった時に,手を出そうとしても間に合いませんので,脇の下の腋窩を常に触っておいて,転ばないようにしてください.
注意点をいくつか挙げておきます.
それは,「転倒を予測すること」「いつ転ぶか分からない」
それを念頭に置いておくということです.
そして,どの方向に検討するのかを予測しておきます.
しかし,これはある程度経験が必要になりますので,予測できると過信しない方がいいでしょう.
人間が転ぶときには何10キロという体重が一度にかかってきますので,
ある程度,倒れると支え切ることができなくなります.
体全体で支えられるようにしましょう.
バランスの練習は自分の能力よりもやや難しい課題が有効ですが,度を超えて不安定なことをしないようにしましょう.
「やさしいすぎず,難しすぎず」です.
それでは,今回はバランスの感覚を養う練習について解説をしました.
健康な人やスポーツをするレベルの人にとっては簡単だと思いますけれども,シニアの世代中や高齢者の方,それから疾患を抱えている人にとっては難しいことです.
転倒予防の練習の一つとして役立てて頂ければと思います.
それでは今回の動画はこの辺で終わりにします.
またお会いしましょう.
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